ニューロ機工製クラッチ眼鏡

頭頸部ジストニアの一つに眼瞼痙攣という病気があります. 不随意的に目が閉じてしまい, 生活のしづらさが生じる病気です. 指でまぶたを持ち上げることは当然助けになるのですが上眼瞼に何かがそっと触れているだけでも開けやすくなることが知られています. そこで下記のようなちょっとした装置を眼鏡に装着するだけで目を開けやすくなりクラッチ眼鏡と呼ばれています. 簡単な装置なので自分で製作してみました. 材料は0.6mmステンレス (バネ材) 線, シリコンチューブ, 熱収縮チューブです. ネットで眼鏡用のネジが大量に入っているセットを 2 組買ってみました. 眼鏡のヒンジ部のネジは1.4mmであり, 鉄道模型工作と縁がありそう. しかしこのような長いネジを使用することはまれで, ましてこの下の作品のように袋ナットはなかなか手に入れにくいです.

モデルは井上眼鏡店製か, 現在は使用していないとのことである患者さんのご厚意で私に無期限で貸し出していただいています.
非常に上手に作成されています. 対側には袋ナットでの固定がされています. 正直このコイル状の巻きは私の力では不可能です.

私が患者さんから預かったのは下の眼鏡であり上記とは形状が異なるのでステンレスワイヤーの加工は完全にカスタマイズです. 究極の現物合わせ.

一応完成しました. ニューロ機工製 クラッチ眼鏡第一号です.

ステンレスワイヤーの先端は曲げてあります. 露出しないようにまずはシリコンチューブを通してさらにその上に熱収縮チューブを重ね, 先端は圧着したつもりです. 熱収縮チューブの素材が患者にアレルギー反応をもたらさないかすこし心配です. 熱収縮チューブはあまり細いものがないのですがもう少し探し, それを下にして上にシリコンチューブをかぶせてみたいです.