KT88 single amp

KT88 single amp.

真空管パワーアンプの自作に初挑戦したとき私は二十歳前後でした. この HP の中では見て下さる方が多いのを不思議に思っています. 最近写真を増やしてみました. さて下記の田中謙次氏の製作記事では鈴蘭堂の SL-770 という高級なシャーシキットが紹介されていましたが実際に手に入れたのはシャーシに穴が開いていないものでした. アルミは厚手で, ボール盤を持っておりませんでしたので, 手持ち電動ドリルの作業が大変でした. 厚手故にシャーシリーマもうまく使用できず, やすりで削ってやっとの思いで仕上げました. 初歩のラジオの記事をまとめたこの 1 冊は誠文堂新光社の初版です. 子供の時からこの出版社の刊行物にはお世話になりっぱなしです. 子供の科学, 天文ガイドや藤井 旭さんの本も多数ありました.  昭和 52 年 3 月 20 日刊

上記の新刊が下です. 蘇る真空管オーディオ・アンプ, 初歩のラジオ編集部編

2007年7月31日刊

表紙にあるようにこの本の内容は1970年代の「初歩のラジオ」に掲載されたもので, 前述の実体図集と同様な編集のようです. そしてこれを見て製作したKT88 シングルアンプとマランツ♯7 のコピーはどちらの巻にも掲載されています. 新刊には入手が難しい部品の代替などオーディオパーツ事情についても記事があります. だれもが困るのはプリアンプで必要な左右音量調整に用いるボリュームではないでしょうか. そういうことには不思議に触れられていないです. 蘇るという表題は私にとっては前作を蘇らせる事  (レストア) と重なります.

シングルアンプは正確には single ended amp ですがこの意味は push-pull ended に対するものです. 大出力アンプは概して後者であり, 低音が シングルより十分に出ること,そしてひずみ率が低いという利点があります. どうしてシングルアンプも良いのか? いろいろ書かれていますがトランスの性能が上がればシングルでも性能の良いアンプが作製できるようです.  動作的に言うと A 級しかできないのですが A 級という言葉は耳に響きがよいです. また音を出す電気回路はシンプルに越したことはないという都市伝説もあります. よく書かれてあるのは偶数次高調波はプッシュプルでは相殺されるが奇数次高調波は残存する. 偶数次高調波は耳に聞こえの良い雑音でむしろ残存している方が良い音に聞こえる. とのこと. さてこのアンプはシングルにしては出力が大きい方で, 8W 時の特性で -3dB で 18Hz から広域 50KHz まで得られたとあります(製作記事より). このアンプの回路ですが, 出力管は 5 極管の有名な KT88 です.  3 極管のほうが音が良いといわれ, 本機は ultra linear 接続という 3 極管の特性と5極管のパワーという両者の良いところを併せ持った設計になっているようです. 回路図を見ると出力トランスの一次側の SG タップと言うところから KT88 のグリッドに入力があるのが分かります. ところが KT88 のカソードの接続については十分な理解ができません. 出力トランスの二次側から入力されて100kΩ を介して初段のカソードにNFBがかかっているようです. KT88 は固定バイアスになっています.

カラーページに配線図があります. もっぱら, この外観に惹かれて作製を決定しました. 本当は鈴蘭堂 SL770 が良かったのですが, 値段もさることながら入手困難で現在も手に入らない旨は新版の本文中にも記載あり. 古いカタログを net でみつけました. SUZURANDO

よく見ますと放熱用の穴開けは随分位置のずれがあります.

これはレストア前の状態で, よく見ると配線の結束はビニールひもです. 当時は結束タイを使用する知識がなかったように思いますが, 配線の美しさにあまりこだわらなかったからでもあります.

レストア後

レストア後では多少配線を整理して, キャパシター (コンデンサー) も可能な限り新しいものに交換しました. Rubycon は Splague へ Shizuki は MKP-FC (Made in France) などへの交換です. 結束タイも使用.

Splague Atom のキャパシターです.

スピーカー端子を新調したが, もとの穴が開きっぱなしです.

電源インレットを新設. 元は実は100V電源は直接ハンダ付けでした. その方が良いという方もいるが.

入出力のプラグを新装しました. スピーカーコードはバネによる圧着式からネジ止めに変更です.

GEC KT88 近影

パーツ配置で出力管の間隔が少し狭過ぎるのが気になります. しかし今見ると角張ったスタイルでレトロな機械美を感じます.

GEC 社製の KT88 ですがロゴマークがほとんど剥がれてしまいました. ところで現在のヤフオクの GEC KT88 の落札価格は 1 本 6 万円とのこと. シャーシ上面のロゴは転写でクリヤラッカーがスプレーされています. CLASSIC と書くべきのを CLSSIC と「A」が脱落していますが随分後になって気付きました. 正面には「VIRTUOSO」と書かれており, 当時好きであった文言を名付けたわけです. 音は非常に明るく元気がよい感じです. 低音が出ていないからでしょうか. 最初に製作したパワーアンプであり, 私の耳にとってリファレンスということになります. 時々ジーという雑音が入ることがあって, 前段管を触ったり叩くと治まります. マイクロフォニック雑音かも知れません. 増幅率が高い前段管は重要な電子部品です.

2023/3 計測しました.

歪み率は高いのですがアマチュアの計測であり, ハムノイズなどが混入している可能性があります.

最近夜景を撮影しました.

このメインアンプはプリアンプよりも先に製作したため, LP を聴くには別途フォノイコライザーが必要です. 当時それを持っていなかったのでオーディオ仲間の S さんから下記の機器をお借りしていました. 長期間お貸しいただきありがとうございました. とても良い音で鳴っていたと記憶しています. プリが IC であり, メインが真空管という妙な取り合わせでした.

これは 1979 年無線と実験にあったサンセイ・エンタープライズというメーカーが出していた広告ですが, 当時の借り物がどのようなものであったのか何十年も経って詳らかになるのも面白いものです. ちなみに UV211 の記事を検索中にこの広告を見つけました.

Marantz#7 control amp (copy)

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