My audio system (私のオーディオシステム)

My audio system (私のオーディオシステム)

昭和 57 年 (1982年) 刊行の芸文社 (geibun mooks 81)「D.I.Yオーディオ」に掲載されたいくつかの記事は私のオーディオシステム構築に大きな影響を与えた. まず朝倉俊博氏の「ゴールデンディープ・リバーはどんな音だったのか」 そして桜井浩一氏の「キリエエレイゾン・クリステエレイゾン・キリエエレイゾン」, この 2 作である. 何度読み返したことか,  読む度に共感と同時に, 胸が締め付けられる程感動し, これらの文章はほとんど文学ー芸術に値すると考えてしまう. 金に飽かしたオーディオ趣味とは全く異なる切なさがひしひしと身にしみるのです.

これらの中に出てくる STAX 社のコンデンサーカートリッジやコンデンサー型スピーカーの存在は私のオーディオに大きな影響を及ぼした. 実際 STAX ECP-1+CP-Y/type2 や UA-7N (アーム) を購入, そして静電式スピーカーは中古の QUAD ESL57 を手に入れた.  LUXMAN PD300 は大須のサウンドプラザでの特価で, これは後にバキュームポンプも追加購入. この頃は CD が出現した直後であり, アナログの世界も最後のあがきを見せ, オーディオ界は世紀末の様相であった. 写真は最近の私のオーディオシステムの全容 (管球アンプはうまく写っていないが) であるが新品は上記のターンテーブルと STAX 製品 ぐらいで他は中古か自作品が主体. 当時は学生ないしは就職したばかりの身で, 貧乏オーディオを地で行くしかなかった. 写ってはいないが Fostex の 20cmバックロード BK201があり (自作), FP203というフルレンジはエッジがぼろぼろになって何年も放置してあった. ようやく新発売された新たなスピーカーユニットFostex FE208EΣに交換できたときは大変嬉しかった. この時初めてネットワーク回路を使用してFostex T900A を装着 (東京で購入したが 2006 年, 1 個 31374 円でした, あっこれは新品でした).

さてではその後コンデンサーカートリッジの CP-Y はどうでしたでしょうか. 全くだめでした. 片 channel の音が小さくなり, 音が出なかったり雑音が入ったりで, 修理に出しても間もなく症状は再発し, どうしようもなかったわけです. 最後は充電が十分に出来ない問題. 確か充電池も交換しましたが稼働せず, 修理は失敗. 結局のところ静電気に関連する微妙な問題やバッテリーの充放電の問題などで非常にむつかしい製品であったという事です. この品物をうまく使いこなすのには本当に苦労し, 結果非常に苦い思い出にしかなっていません. 当然新しい製品は出ませんでした. この記載をきっかけにこの製品をネットで調べますとレストアした記事が出ており, 同好の者がいるのだと感動. 結局, 現行カートリッジはオルトフォンMC☆20W (新品買った), ステップアップトランスはオルトフォンT20 の中古. トーンアームもサエクの中古で, これは STAX 社製が不安定になり, やむなく替えました.

私のCP-Y 最後の姿です. 当方にお問い合わせがあり. お嫁に出しました. 最後の姿を撮影しましたので見てください.

 

オルトフォンMC☆20Wのケースを嫁入り道具にしました. 先方では実力を発揮してたいそう喜ばれている様子で, 嫁の父としては誇らしく思います. いつまでも元気で活躍してください.

オルトフォンMC☆20W

何10年も使用してきたが 演奏中にウエイトに触ってしまい, カンチレバーを曲げてしまった(2023年10月頃). 元に戻そうとペンチで触ったら折れてしまった. そこで 55000円で新しい MCQ20 と交換してもらった. 残念でならない. もっと大切に扱うべきであった. ヤフオクでは40000円の値段が付いており驚いた. すなわち現在においても評価は不動な良い音なのだ.

以下は製品の解説文である.

ORTOFONの「MC☆20W」は、

日本の伝統工芸としての山中塗りによるウッド製ボディと、AUCURUM(オーキュラム)と呼ばれる6N純度銅線に4N24カラットの金メッキを施した高級線材をコイルに採用する、MCスターシリーズの中核モデル。

MC☆シリーズカートリッジのウッドハウジング(ボディ)は、木粉65%とフェノール樹脂35%を顔料で染色し、175℃の型に入れて成型。50トンの小型熱硬化射出成型機から、時間をかけて一つ一つ生み出される。仕上げは、日本の伝統工芸美術品として名高い、「山中漆器」熟練の手作りによるもので、下地の塗装に続いて浮雲文様を入れ、最後に透明な漆合成塗料をかけるという、実に手間のかかる三重仕上げの「山中塗り」ならではの美しさを誇る。

発電機構には最新の技術を用い、また、針先形状は接触面積の広い、スーパーファインライン・スタイラスチップ。レコードに刻まれた情報を余すことなく引き出す最高グレードのスタイラス、フリッツガイガー70、5/70μmを採用している。

ORTOFONの『MC☆スターシリーズ』について

1976年の初代MC20の登場以来、更なる効率アップを追求してきたMCシリーズの最先端モデルに、漆という日本の伝統工芸による美を融合。発電機構もフルモデルチェンジを図り、最先端の線材AUCURUMによるコイル、ネオジウムマグネットを採用し、低インピーダンスで高出力を実現させた、オルトフォンの新しい主力シリーズが『MC☆スターシリーズ』である。

MC☆10W、MC☆20W、MC☆30Wの3種類のラインナップを揃え、いずれもボディ材質は木質で、型番末尾のWはウッドを示す。山中塗りによるボディのカラーの違いで外観上も美しく区別が付けられている。

MCQ20

MC☆20Wを壊してしまった. オルトフォンではすべての MC20をMCQ20に55000円で交換するというので, 喜んでそうして頂いた. 店はノムラ無線である.

メーカーによれば。発電コイルには聴感上のバランスやエネルギー感に優れた高純度銅を採用。アルミ製カンチレバーには無垢ダイアのファインライン針を使用。空間表現や豊かな低音再生能力に優れ、シルクのように滑らかで上質な再生音はまさに至高のアナログサウンドと賞するに相応しい品格を備えています。

となっている. カートリッジを聞き比べるのは中々困難であるが, 前のMC☆20W と比較してどうなのだろうか. ようやくゆっくりとMCQ20を聴かせていただいたがMC☆20Wと変わりない美音と思われる (2024/3/30).

STAX UA-7N

新品を購入し長く使用しましたがアームがスムーズに降りなくなり (リフターのせいではなく) 使用を中止.  この時はネットに出ているような断線事故ではなかったのですが 2023 年 4月に再度検査したら通電しなくなっていました. どうも経年的に断線はありがちな様子. 当時購入してあったモガミのカートリッジ検査用コードで復活させました. STAX のアームは非常に軽く作られており, どうやら静電式の CP-Y に合わせた設計の様子で, 重量級のアームと音がどう違うのか不思議です. 物理的にアームは重量級のほうが針の感度は上がるような気がするが.

SAEC WE-308 NEW

その後は SAEC の中古品を名古屋大須の NAPIX で購入し使用中. 重量カートリッジ用の追加ウエイトは自作品を net で購入しました.  net にも出てした記録が PC 内に残っており, 以下は店が撮った写真. 販売時の説明文は「ダブルナイフエッジタイプ 全長329mm 針圧0-2g 適合カートリッジ5-11g PHONO ケーブルなし アームリフター上下レバーのストッパーネジ1ケありません 動作はします 外観はサビもなく全体的にキレイなほうだと思います」発売年は1975年ですから今書いている (改訂) 2020年からは なんと 45 年も前の製品である. 購入は 2010 年 4 月で税込み 35000円でした. 今思えば格安です.

旧型電気機関車のような機械美にあふれています. 残念ながらアームリフターのストッパーねじが片側で折れています. PD300 に装着使用中の様子が下です. リング状の重量カートリッジ用のサブウエイトを加えています. ヤフオクの作者が旋盤で挽いたもので, これがなければ現行カートリッジやヘッドシェルは使用できません. 2022/1 でもヤフオクに同製品が 3800 円で出品されておりました. びっくりです.

ラックスマン PD300

ターンテーブルは重要なオーディオコンポーネンツであるにもかかわらずここにPD300を載せることが 2023/04/24という時期にまで遅れてしまった. この機械はちょうどCDというものが発売されたころ (1982年) に定価の約半額で大須サウンドプラザで新品を購入した. 単独でも真空スタビライザーを働かせて LP をプラッターに装着できるが, さらに自動的に真空を保つためにリモートバキュームユニット (VS300) も購入した. これらは経年的にゴムパーツの劣化によって使用不可能になるのでいつの間にか使用しない状態となる. またターンテーブルを駆動する帯ゴムは途中で数回交換している. 2024/4 スイッチを交換した.

上写真はPD300 の裏側で, 左の下が回転速度を選択するスイッチで 3 接点 4 回路. 下写真で下方に置かれているのが代替部品であるが, 軸が短いのが難点. 凝ったノブなのでノブがすこし引っ込んでしまった. また周囲と擦ってしまい回転が鈍い.

換装し終わったスイッチ. まったく同じ規格で機能的にも変わらない部品が手に入ることはありがたい.

鬼頭氏に譲ってもらった自作ターンテーブルに目を奪われて PD300 は売ってしまおうかと迷っている. あまりにも日常的に御世話になった機械なのでその存在の重要性を忘れていたのだ. 33/45 回転を選択するスイッチが接触不良で, 回転にムラが出るので鬼頭氏のターンテーブルが届いたのを契機に修理した.

アンプ

肝心のアンプの話が遅れましたが, 前出の朝倉俊博氏の文章にはアンプは三極管のシングルアンプにすべしとあり, 別稿の自作管球アンプにそれらの製作記を載せました. 下の写真に YAMAHA C2a, MARANTZ SA 8260 (SACD), LUXKIT A3400, LUXMAN SQ38 FD が写っていますがすべて中古購入です. ブロックダイアグラムを示します. セレクターは Luxman 製ですが配線の整理ができておらず, いつも裏側に回ってどのボタンを押すとどのアンプにつながるのか確認が必要です. まめにメモで作ればよいのですがいつも配線は気まぐれで差し替えっぱなし. 次に使うときにどうなっているのかわかりません.

LUXKIT A3400 (中古購入) (1974年5月発売当時定価¥108,000)

解説: 真空管式のコントロールアンプキット. イコライザ回路にはマランツのModel 7 とマッキントッシュの C-22 の回路の特質を見極めた上で新たに開発された K-K・NF型というマランツに近い構成を採用. この A3400 の回路では 3 段目のカソード抵抗を33kΩと3.3kΩに分割して超高域におけるNF量が不必要に多くなることを防いでいる. また, 3段目のカソードより初段のプレートへ局部的にNFをかけることでメジャー NF がかけられる前の裸特性を改善し, 歪率特性の向上に効果をあげている. 中間アンプは3極管の2段構成となっている. A3400では利得を抑えて高出力時の歪を悪化させないため, バランサに B 型 (挿入損失は約-8dB) を採用し, 適当な総合利得となるようにしている. これは,  2 段構成で低利得とするためには, どうしても高帰還型で負帰還抵抗も小さくなるため, この抵抗が2段目のプレート負荷となって高出力時の歪が悪化するのを防ぐためである. なお, この段にはリニアイコライザを搭載しており, 帰還素子を切換えることによって全帯域にわたって直線的な傾斜を持つ周波数特性が得られる. トーンコントロール回路にはラックス方式 NF 型を採用している. 低音と高音のレベル調整にはプリントスイッチを使用しているためフラット特性が改善され, 安定したコントロールが可能. この回路はディフィートも可能となっている. 出力回路にはカソードフォロアを採用しており, 出力インピーダンスを低く保っている. この段には高低域ともカットオフ周波数が2段階に切換えられるフィルターが設けられている. これはカソードフォロアを利用したNF型となっており, オクターブあたり-12dBの傾斜でカットされる本格的なものとなっている.

LUXMAN SQ38FD (中古)¥98,000 (1970年7月発売当時)¥138,000 (1974年頃定価)

解説: SQ38 シリーズの4代目にあたる管球式プリメインアンプ. 出力管には50CA10 を採用し, 出力トランスには OY15 型を使用している. メインアンプ部はムラード型回路を基本にしており, この回路の特長を最大限に生かすため細部に改良を施すことで高域の歪特性を改善している. さらに位相補正回路を挿入することで, スピーカーのインピーダンスが上昇する高域で負荷の減衰からくるアンプの不安定さを解消している. プリアンプ部には 2 段 NF 型イコライザーと LUX 方式 NF 型のトーンコントロールを採用している. トーンコントロールは左右が独立しており, 低域, 高域ともに2点ずつの湾曲点切換が行える. ハイフィルターやローフィルターを搭載. メインアンプ部の入力レベルセット機能を搭載している. スピーカー出力は2系統備えている. スピーカーの出力インピーダンスはそれぞれの系統で選択できるため, インピーダンスの異なるスピーカーを接続した場合も最適の負荷が選べる.

YAMAHA C-2a 中古  (当時定価¥170,000)

ヤマハが 1978 年に発売したプリアンプ。1976 年発売のC-2の改良型で,当時の最先端の素子を使い,最高の特性を得ようとして作り上げられたヤマハの意欲作でした。特に,フォノ系の音は抜群のものがありました。同社のコントロールアンプの最高級機C-1の超多機能とは対極をなすシンプルな回路と機能でプリアンプとして徹底して音質を重視したのがこのC-2aでした。C-2aの基本的な回路構成は,MCカートリッジ用ローノイズヘッドアンプ,電流雑音低減回路を備えたローノイズイコライザーアンプ,高精度トーンコントロールアンプというシンプルな構成になっていました。全てのアンプは,平衡型全段プッシュプルで低歪みを追求し,かつ全段DCアンプ構成になっていました。また,C-2aは,設計上の困難を排してオーバーオールのゲインを通常のプリアンプの約2倍に設定し,出力に低いカートリッジでカッティングレベルの低いレコードをかけた場合や感度の低いメインアンプと組み合わせても充分なゲインが得られるように定格レベルが2Vに設定されていました。このような当時として究極的に優れた特性を実現するために,新たにコンピュータとスペクトラムアナライザーを組み合わせた測定器を開発し,従来の測定器では測れなかったレベルまで測定を可能にすることで,残留歪に隠れていた特性も明らかにしたという意欲作でした。(以下略)

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