ED級 輸入電気機関車 (その2)
ED19, ED41, ED51, ED54, ED56, ED57
ED 19
ヤフオクで手に入れた中古品である. かつて飯田線を走った人気電気機関車で, 実機は Westinghouse Baldwin 製である. EF51 と同じ製造メーカーで, 現在Westinghouse は原子力発電も手がけており, 東芝が買収して失敗したニュースがあった. まずは購入時の持ち主の撮っていた写真を示す.
かなり手の込んだ工作が追加されたものである. ウエザリング塗装も施され, すばらしい外観に仕上がっている. 以下に購入時の持ち主の文言を引用した.
「かなり古い歌川模型さんの ED53 のキット (入手時はジャンク) を, ED19・6号機として作りました. 外観のほとんどの部分をスクラッチにて追加しています. 外観はウェザリングが施して有ります. ライトはヘッド・テール共に LED にて点灯します. 走行は, 元々このキットは走らせるのが難しいと聞いていましたので, ウエイトを補充してあります. 構造上の問題で, 車輪台枠が, サイドタンクに接触しますので, 小さなカーブの走行は厳しいです. R550は走行可能です. 動輪 4 軸から集電していますが, 少々非力のようです」
このED19 私が以下のように改造しました
モーターは一つで換装されていたが自重が軽いためかトルクがでず, 重めの旧型モーターに戻した. 車輪にねじが切られていない旧式のパーツで, 車軸にナットで留めるタイプ. 偏心のためか, 頻繁にねじが緩んでしまうため15.5mm スポーク車輪の新品に交換 (スパイク模型製). 車軸も変更. インサイドギヤは同規格新品は手に入らずそのまま使用. ピニオンギヤはねじ止めではなくかしめであり車軸を変更するためにギヤを軸から抜く必要があり, 万力の上で軸を叩きギヤを抜いた. 新しい車軸にギヤをハンダ付けし換装. 車軸は交換によって微妙に長くなったため, 台車の軸孔は切削して深くしなければいけなかった. 旧型のモーターの上に鉛板を重ねたものを接着剤で補充. これでかなりトルクが増した. 以下がレストア後に撮影したもの (外観変更なし).
もとの集電方法では非絶縁側は軸集電で, いつもの方法でタイヤ部分での集電に変更し, 直接結線したので文字通りの全車輪集電となった. 先従輪を装着すると途端にぎくしゃく運転ないしは停止. 台車枠の幅が狭く, カーブの内側で車輪と台車枠が接触し, ショートする. 絶縁側にテープを張り巡らせる. 日本型は本体の割にはレールの幅が広いプロポーションでありこの模型ではその欠点をカバーするように台車の幅がギリギリで設計されており, 小半径レールの走行には不利な条件がそろっている. さてその後もいろいろ不調な時期があったもののすこしづつ改善されている. 手を入れただけ良くなるのも 16番/HO の醍醐味か.
ED41 (天賞堂中古ED42→ED41改造製作記)
信越本線のアプト式区間である横川 – 軽井沢間(碓氷峠)用の電気機関車で, 1926 年に 2 両がスイスのブラウン・ボベリ社 (Brown Boveri, 電機部分 )・スイス・ロコモティブ・アンド・マシン・ワークス (SLM, 機械部分)で製造された. アプト式鉄道電気機関車の出力増強を目論み, プロトタイプとして輸入したもので, 本形の使用実績に基づき, ED42 形が量産されることになる. 車体は箱形で, 前位側運転室の前面は3面折妻, 後位側は切妻となっており, 前位側にはデッキが設けられている. 中央部やや前よりの屋根上に停車場内で使用するパンタグラフを1基搭載しており, 屋根上に搭載された空気タンクが特徴的である. 本線上では第三軌条から集電するため, 集電靴が片側 2 か所に設備されている. また, 運転台は坂下の横川寄りにのみ設けられた片運転台型である.
中古不動の ED42 (下写真) を購入し, ED41 (上写真) への改造を始めた. 下はヤフオクで購入した天賞堂の 1964 年発売の初期製品. モーターは一つで, 天賞堂の説明では台車部分はドロップ製と. 鉄道模型考古学のなかでも非常に褒め称えられている当時の好製品のようだ.
パンタグラフは上半分が欠損.
側面の出っ張り部分には後方を見る窓がある. このような部分も ED41 をそっくりまねて製造されたわけだ.
縦型の古典的モーターは機械洗浄用の液体 (ノルマルヘキサン) をスプレー してざっと拭い, 注油すればある程度復活する. 密封型のモーターより簡単にメンテができるのが嬉しい.実は購入時の不動の原因がはっきりしなかった. バラして組み上げたときになぜか再度不動で, その原因はスコッチヨークを止めているネジにあった. リンク中央と車輪を止める段付きのネジは似ているが微妙に長さが異なり, 取り違えて締めると不動になる!!! 前の持ち主はこのネジを取り違えて締めていたのかも知れない. 不動品を安く手に入れ, このように原因が解明されて復活すると感激である. 後にほかにも不動因子があることが判明し, 最後に記載あり.
ホルツの塗装剥がし液は非常に強い浸透力があり, 手袋を装着していも直接触らない方が良い. ゴム手袋は簡単に通り抜けて毒性があるらしく痺れる!!!. 必ず箸などで間接的に触るべし.
前切妻を一旦外した後に三つ折りにして ED41 の形態に近づけました. 屋根が少し短くなるので, ひさしを追加. 5 mm の帯板を削ってつなげたが, まだ少し短めである. この状態からさらに帯板を前方に追加した.
こうしてみると曲げが片側で少し足りない. まあめんどうなのでこれで妥協.
ひさしの端に少し隙間が, これはエポキシパテで埋めよう.
妻面を三つ折れにした結果デッキは狭くなってしまうので追加延長した. 3mm 帯板 2 枚を 0.2mm ほどずらして半田付けで貼り合わせ, デッキの前部に延長装着した. 少し傾き, 面一になっていないが.
デッキと前照灯追加, 工作は全くのフリーハンドで
屋上の構造物を移動すると大きな円形の穴が開いてしまい真鍮板で埋める.
内側から. ボディーの強度保持のために側面同士に渡す梁を追加.
余っていた蒸気機関車の炭水車用の前照灯を正面上部に
エアタンクは直径 5.1mm の真鍮管から作製
短い方のエアタンクは帯板を井桁状に組んだものに乗せます
仮置きしてみた. エアタンクの太さは直感的にはちょうど良さそう.
こんな雰囲気だが. まあまあのできである.
パンタグラフは上の部分が外れて欠損していたがフリーハンドで製作して追加. 意外と簡単であった.
一般的なパンタグラフの設計が極めて合理的であることに今更驚く. 手抜きなのでなかなかうまくいかないがなんとか畳むこともできた.
パンタグラフは置いただけでとりあえず雰囲気を見るために撮ってみた. まだまだ偽 ED41. このパンタグラフは輸入時のオリジナルより一回り小型に映る.
デッキの前照灯が少し下を向きすぎ.
白く見えるのはエポキシパテで, 手袋を付けて作業するのですが難しいもので, この作業には慣れない. その後のヤスリがけも不十分.
旧 ED42 の テール 取り付け用の孔も半田でふさいだ.
モーターの付いていない台車には集電装置を増設
車輪の踏面に集電シューを当てた.
1.2mm 帯板を追加し側面下部のベンチレーターを造設. リベットは穴を開けて真鍮線を埋め込むのはあきらめ, 真鍮線を垂直に立てはんだ付け後に短く切断するといういいかがんな手法を用いた. ED42 のベンチレーターは残している.
運転席側面窓は縦長に広げ, 一部の窓は埋めて点検窓を追加. 側面ベンチレーターは横長にくり抜こうとしたが, 非常に難工事. ドリルで多数の穴を開けて, 一部をルーターで広げ, フライス刃を入れて削り広げていった.
後面は 45 度に傾斜する手すりが特徴である.
標識灯をどうするか思案. また後方の梯子は撤去が必要である. 実は持っているED42 の梯子が 1 個欠落しており,そちらへ移植の予定.
追加したベンチレーターには銅のメッシュを貼った.
換気孔のようなものも追加したいところですが, ちょっと休憩.(2018.4.29)
連休に塗装開始
ガイアノーツのぶどう色 1 号をスプレー塗装し, 大失敗した. 十分湿度が低い時に通常のシンナーで希釈したが, 表面がひどく粗造になってしまい, クリヤをいくら吹いても表面は凸凹のまま. これは柚肌という失敗らしい. 後述.
後方のデッキステップは撤去した. ナンバーは後面には無いが折角製作したので付けた.
下の前照灯が skew deviation のように見える.
ナンバーは ED42 用のものを流用し 2 の数字を削って 1 を移植した. この機種は 2 台しか輸入されていないので ED414 はむろん架空である. 電装も終了したのは 2018.5.12. 製作途中で時々モーターが停止するトラブル発生. 注意して観察すると整流子 (コミュテーター?) に付くコイルからの線が1ヶ所はんだが外れかけているのを発見した. 模型用のモーターにこのような故障原因があるとは大変勉強になった. 実物には PS5 と言うパンタグラフが付いているらしいが, この ED42 用よりも大きなものらしく換装が望ましいのだがまずはこれで我慢. 後に安井模型でムサシノ製の BBC 用の 1 シューのパンタを発見した. お金を貯めたら買いに来るというと店の人には売れないから大丈夫といわれた. それから, 正面の追加された下部の前照灯は向かって左は標識灯の赤で右は前照灯が正解かもしれない. でも両方とも標識灯にした.
以下 レイアウト上に置いた写真
やはりPS5 の大型パンタグラフの迫力にはかなわない (その後換装した). この写真では表面が柚 (ゆず) 肌になっているのがわかり, 塗装は失敗. ネット情報では原因は下記か.
・気温に合わない, 乾燥の速いシンナーを使用した. ・吹付塗料粘度が高すぎる. ・スプレーガン距離が離れすぎ. 運行速度が速すぎ. 塗り込み, 塗り重ねの不足. ・微粒化の悪いスプレーガンの使用. ・ブース内の温度や、風量などの調整ミス. ・旧塗膜の研磨不足.
柚肌の失敗は全て塗料の薄め不足に帰結すると結論づけられました. 皆さんは 1:2 を守ってください. 私はいつも勘違いして 2 倍に薄めていました. 簡単に言うと 2 倍ではなく 3 倍に薄めましょうということです.
売れ残っていたムサシノモデル製 BBC 用のパンタグラフを安井模型で購入. 残念ながら三角窓は開いていないが, 横に寝た碍子, 1本シューなどの特徴は有している. PS11よりは大きいがやや繊細に見える.
メモとして製造会社を紹介:1926 年に2 輛がスイスのブラウン・ボベリ社(Brown Boveri、電機部分)・スイス・ロコモティブ・アンド・マシン・ワークス(SLM、機械部分)で製造された.
ED51
ムサシノモデル製の ED51 は安井模型で新品を購入したもので私の宝物のひとつだ. この時 EF50 とどちらかを購入しようと迷ったが, たとえ EF50 を購入しても私のレイアウトの曲率では走りっこないと考え, ED51 にした. この ED機は有名な dick-karr 製で, ED17 の仲間であるがスタイルは異なり. 両サイドが全く異なるデザインであり, デッキも付いている. この製品は軸受け可動であり, 動力性能も抜群. しかし台車の可動性の制限で私のレイアウトを走るのはギリギリで, たまには脱線する.
軸受け可動の状況がわかる. また左右の側面形状の違いにもご注目
ED54
2018.11.3 up 開始した. 私のコレクションも当初目標の最終段階に近づいた. 念願の ED54 が手に入ったからだ. 鉄道模型社製のキットで, ヤフオクに出た仕掛かり品, 他力本願ながら, このような形でないと入手は不可能である. もちろんTMS (鉄道模型趣味誌) に出ているようなフルスクラッチの作者達にはとうてい及ばないが. まずは購入時の勇姿の撮影から. ここまで作製されている事が驚異であり, 労苦も理解できる. これを完動に持っていくのが大きな楽しみである. さて実車はスイスのブラウン・ボベリ社(Brown Boveri & Co. Ltd:BBC社. 電装品担当)とスイス・ロコモティブ・アンド・マシン・ワークス社(Schweizerische Lokomotiv- und Maschinenfabrik:SLM社 機械部分担当)によって 1926 年(大正 15 年)に 2 輛が製造されて輸入されたと WIKI に書かれてあった. ED12 や ED41 と同じメーカーである.
あとで述べるようにシャーシを取り付けるステイの取り付け方が間違っており, 床面が1.5-2mm程高くなっており, 写真でも分かるわずかな腰高です. この視点でもブッフリ側車輪のスポークが見えすぎています.先従輪のクリアランスもこの腰高なら十分に見えますが床面を下げると干渉が生じるようになります.
ブッフリー装置側の車輪であるが複雑なディテールをよくもここまで表現したものである.第 2, 3 軸の車輪にはかなり強く集電シューが当たっており,実験をしてシューは当たりが弱い方が走行時の車体ぶれが少ないと考え, エンドウの薄い燐青銅板に交換した. 電気機関車としては異例の構造, 内フレーム構造であり, 蒸気機関車に使用されるスタイルである. フレームはコの字型でフライス加工によるもの.
見事なスポーク輪 直径は2cmであり実物はなんと160cmである.
第 1と4 軸は左右への可動性がある.ギヤの間に見える黒いものは劣化したゴムで後で述べるようにシリコンチューブで換装した.この機構で小半径レールを走行可能とした設計である. Wiki の ED54 の解説によると実物がこのような構造を持っていることが分かり, この部分にまさか現物の構造を取り入れているのはすごいと感心. しかしこの構造により模型では軸受けの高さなどに微妙な誤差が生じるので調製のための困難がつきまとう. 上記勇姿で問題点をあげるとデッキの手すり, ステップ, ランボード, パンタグラフなどが欠損していること.まずはスムーズな走行を目指して徹底的に機構を check . シリコンゴムのユニバーサルジョイントは意外に微妙で, 車輪の 1 回転毎に微妙な抵抗の変化が生じ, 結果は 車輪1 回転毎に微妙な速度の差が生じ, それがカーブで明瞭となる.
レストア開始
劣化したゴムはシリコンチューブで置き換えることができた. 1, 4 軸は関節を持っており, シリコンチューブの部分が短いユニバーサルジョイントの代わりを果たしている.
絶縁側の集電を2,3軸集電から全軸集電にした. また元の 2,3 軸の集電はシューが厚くて硬かったのでエンドウの燐青銅製に置換した.
キャビン下は着脱可能に変更する. そうしないと塗装後に窓の硝子を貼ることができない. ひさし下のステイも追加.
デッキもほぼ工作終了. この後徘障器を取り付けている.
デッキとキャビン下の板をつなげるのは 30mm 帯板から加工したカプラー台である. 帯板を加工してデッキステップも付けた. ステップにはメッシュ板から製作した足台を付けた
渡り台が跳ね上げできるようにヒンジを工夫. 細い帯板を 90 度ひねって0.5mm でドリルしヒンジを製作. ひずんでいるが気にしない, 全てフリーハンド工作.
EF65用のランボードセットを使って追加工作.
2018.11.30現在はここまで
その後, 細部の造作と運転調整で手間取りが続いた. その中での最大の難関は試運転中に徐々にスピードが出なくなり, とうとう停止に至った事. 経験から車輪と車軸ネジの緩みで車輪が動かなくなったかと思ったが生やさしいことではなかった. ウオームを受けているピニオンギヤが動かなくなっていた. モーターを外してギヤに爪をかけて無理に回すとなんとか回るが異常に硬い. 原因不明のためにやむなく半田付けされていた軸受けごと外してみた. すると片側の軸受けから軸が抜けず強く噛んでいる. 給油したり, ノルマルヘキサンをかけたりしながら手で何回も回したら徐々に緩み, ようやくはずれた. 給油切れ+摩擦熱による固着だろうか. 軸の仕上がりは余りよくなくて, 表面が粗造であったこともこれを示唆する. また軸受けも 5mm と少し長めである. 長い軸受けは給油切れのままで回転させると固着を生じる可能性が今回の教訓である. 軸を紙やすりで仕上げて, 軸受けの内面もルーターでさらっておいた. 軸受けが短い場合には削られた金属のかすが外に排出されやすいのに対して長い場合には押し流されにくく熱などで固着しやすいのでは.
前製作者が作り方を間違えており, シャーシを取り付けるための左右に渡すステイをアングルより底面に付けられていた. 1.5mm 以上車高が上昇していたのはこれが原因. 作り直すと逆に車軸が低くなりすぎて, 0.3mm 帯板で高さの調整が必要であった. さらに先・従台車の前後方向の位置が合わず, 柄が長過ぎるので切断短縮を余儀なくされた. パンタグラフはアル模型の大型パンタグラフ購入の選択肢もあったが, 安井模型店でみつけたフクシマ模型製三菱 S-514 パンタ 17.5×19 にした. 大型パンタで, シューは 2 本とオリジナルとは異なるが, 碍子の形態が輸入電気機関車の特徴 (碍子が横並びで寝ているスタイル) を有し, 気に入った. しかし組み立てが大変. 碍子を取り付けるピンは Φ0.5mm 長さ 5mm 程で, ピンセットで摘むと簡単に飛んで行ってしまい 2 本も紛失. 紛失部品は洋白線で代用. 少量の接着剤を使用し脱落を防止しながら最後に瞬間接着剤で固めるという手順で組み立てた. 天井面に空けた直径 1.2 mm の 4つ穴に差し込む形式で, 固定方法に指定はなし. やむなくセメダインX を流した.
ブッフリー側車体には縦 2 本, 横 1 本に 2.5mm 帯板を追加. リベット表現を 0.5mm 真鍮線でするためにルーターで孔を開けたところ.
0.5mmのドリル刃はネット上にも販売店にもしばらく在庫がなかった.下のはプロクソンから販売されているのもので, これがないと話にならない. 結構寿命が短くよく折れてしまう. 3本 set で net より先にホームセンターで在庫を発見.
以下は2019/01/03 途中経過. もう少し調製したら仕上げに入る予定.
帯板の中心に孔を開けるのは難しく, やはりボール盤かドリルスタンドが必要だ. いつもネットでどれにしようか迷っているうちに買わずに終わってしまう.
実は写真を撮ってわかったことは左右方向に傾いていること. まだまだ調製が必要だ.
エアホースは左ハンドルを購入したつもりが右ハンドルでがっかり, でも気にせずに. 安井模型では網目板や細かいメッシュなども売っており, 私のように細かい部品しか購入しない (たまに高額品やキットも購入しますが) 者にも親切だ. 上記写真で床板の隙間はネジ止め不良である. 以上2018.1.2まで.
上の写真は一旦バラし, 型どおり歯ブラシを用いてクレンザー, マジックリン で清掃後, ブラスクリーンに付けたところ. 随分汚れと錆がでた. ブラスクリーンは安井模型には置いていないので IMON の通販で手に入れる.
きれいになったこの状態で再度組立てて写真を撮るのは大変手間で, あきらめた. このあとはやっかいな塗装工程が待っている.
さてその後は塗装しながら仕上げの調製だが走行中にやっかいな症状が出てきた. 貨車などを牽引するとカーブでどこかがショートして停止ないしはギクシャク運転となる. 機関車単独での走行はスムーズであるにもかかわらずだ. これは走行させながら機関車を後ろから手で引っ張るとわかったが, 例えば右カーブで車体の後部が貨車を引く牽引の反作用でカーブの中心方向に応力が働いて車体後部は右に移動. 一方車体前方は逆向きに動かされ, 左前方車輪がフレームの一部に接触する. 本件では原因は前方にあり, ショート対策にはプラ板と瞬間接着剤で対応しました.
さていよいよ塗装である. まずは FUJI というメーカーのメタルプライマーを吹いた. これによって表面がぴかっと光り, 塗装ののりが改善する. 本塗装はガイヤノーツのぶどう色 1 号にした. 走行試験はまだ継続. 私のレアウトの線路は経年変化で上下凸凹の反りが生じており, 直線でも先・従輪がボディーのどこかと接触ショートし, ギクシャクする. 仕方なく臨時で絶縁テープをべたべた. 床下はトビカトップガードで塗装するがこれは通電性を有するのが玉に瑕. 通電性のない塗料ならショートしないのだが. 塗装後は電装の前に窓硝子張りというやっかいな仕事がある. ここには瞬間接着剤は使用できない. 例外なく硝子に白い曇りが出来るからだ. やむなくセメダインスーパーX を使用. これはほとんど水飴のような性状であり, 糸を引いて他の部分を汚さないように慎重な作業を強いられる.
前照灯は配線用の細管を設置したので, そこにウレタン線を通すことにした. モデルシダーのキットのウレタン線は非常に短く, 延長のために継ぐ作業が必要だがこれが非常にやっかいである. 継いだウレタン線は極性が不明になるため一方をキンクさせて目印とした. LED の配線は極性があってキットの結線は全て色で分けられている.
標識灯の配線途中. 下の方に延長のためウレタン線同士の半田付けが見える. この後 LED を固定するためセメダインXを流し込んだ. その上に赤色レジン液を充填後, 紫外線で硬化させた. その上にさらに透明レジンを置いた. ウレタン線をハンダで繋いだ部分は全て3Mのメンディングテープで絶縁.
運転室には隔壁があり, そこに設けられてある窓をウレタン線を通過させる作業も大変. ウレタン線は独特の弾性があり, 細かいところを通過させる時にいちいち引っかかる.
モデルシダーの LED 点灯キットであるが, LED 部分は結線の延長のために切断した状態, ここからウレタン線を延長した.
写真の様にウエイトを積み, 動力部分が完成した. 照明配線用にソケットを設けた. ウエイトがあまり乗っていない向かって右側には運転室内にウエイトを追加しバランスをとった. 中央のウエイト以外は鉛の板から成形したもの. 全体として十分なウエイト量になった.
ED54 の完成を見た時の作業机の状態である. ほぼ完成+写真撮影最終 up は 2019.1.15 のこと.
ED54 のナンバーは 手に入りそうもなく, 面倒な作業は止めてムサシノの ED57 完成品の残っていたナンバーを使用した. 7 を 4 に読み替えていただきたい. その後ナンバーのみ手に入れたのは完成 2 年後の 2021 年 4 月のこと. しかしボンドで付けたナンバーをうまく張り替える技術はない.
標識灯は LED を固定して上に赤のレジンを置き, さらに透明レジンを盛ったが少し盛りすぎて球状になってしまった. 前照灯も透明レジンを盛りました. 黄色いのは元の真鍮の地肌の色である.
先・従輪の側面にはカバーがあるが, カーブを曲がらなくなるので取り外しが可能になるようにネジ止めにした.
実物で先輪後方に見えるオイルポンプ様の構造はウィストジャパンの空気分配弁(2136) という蒸気用の部品を代用した.
ブッフリー装置側面には苦労して配管を付け加えたが残念ながら余り目立たない. 砂撒き管の最終位置決めが甘いですが車輪やレールとの接触を避ける事が先決.
底面にも板バネのディテールを加えた.
この側からの窓は 2 ヶ所, わざと硝子を入れなかった. 2 ヶ所で窓の開いている実物写真にわざと合わせてみたのだがあとでよく見たら窓が開いているように見えたのは錯覚であった.
こちら側は鎧を着た武者のようで, 無骨そのものだ.
先従輪の側面にあるカバーを装着した
前照灯の点き具合を確認.
標識灯もよく光が回ったが少し暗め, 赤色レジンの透過性が少し悪いようだ. さて鉄道模型考古学という本で松本吉之さんがこの製品は特製品 (完成品) がなく, 苦労して作ったものは作者の宝物になるでしょうと書いているが, まさにそのとうりで, 達成感は半端なものではない.
動画もどうぞ. わずかなギクシャク運転は恐らくシリコンゴムの問題ではないかと考えている. もう少し径の大きなシリコンチューブを探したい.
ED56
夢屋のキットを最低限度に組み立てた. いざ写真を撮ろうとしたらナンバープレートがついておらず, 点灯作業も未完です. 実物は英国メトロポリタン=ヴィッカース(Metropolitan Vickers) 製で非常にスマートなスタイルに魅力があります. カラー写真は現存していないと思われ, 黒っぽい塗装しか想像出来ませんがせっかくの外観なので生かす色を考え, メタリックレッドにしました. しかし, 艶が出せず, 表面はざらざらしており, せめてクリヤを吹くべきでした. 通常の連結器を付けた場合には緩衝器は除くべきですが古典機のイメージも残しました.
台車は使い慣れたトビカトップガードで塗装. 絶縁側にもエンドウの集電シューキットをつけています.
ようやくナンバー入れました. しかし前照灯と標識灯がまだ….
ED57
ヤフオクで完成品を購入. 現在も新品同様が高額で出回っている製品です. この製品は軸箱可動ではありませんがムサシノモデルさんが高く評価されているはずの秀逸なできばえです.
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