Marantz#7 control amp (copy)

Marantz#7 control amp (copy)

KT88 single の次に製作したのがこのプリアンプである. メモが見つかり, 昭和 55 年 (1980年) , 私は大学生で夏休みに製作したようだ. 人に見せられない様な恥かしい工作が随所にあるが, 当時総額 4 万円台の部品代であったにも関わらず, 現在でも非常に魅力的な音を聞かせてくれるのは不思議な気がする. 今でも私の常用機である. 原機の人気は現在においても非常に高く, 回路のみならず隅々まで行き届いた緻密な設計が非常に優れているかを示している. シャーシはアルミの板とアングル材を使った完全自作で, 一部に接着剤も使用. 上蓋はアルミの 1 枚板で, ビニールテープで止めただけであった. レストア時にアングル材を利用してタップを立てネジ止めにした. 製作後 40 年余になるがレタリングの上に吹いたクリアのおかげで前面パネルはまだわずかながら光っている. レタリングと言えばこの妙な字体の 「STELEO」は「STEREO」の「CONSOL」は「CONSOLE」の誤りである. メモによると購入した Telefunken 社製 12AX7 (ECC83) は当時 1本 750 円であり, 安さに驚嘆した. 昔はいろいろな意味で自作天国であった.

この藤本伸一氏の製作記事は前作の KT88 シングルアンプと同じムックにあったもの. 下記の実体配線図通りにトーンコントロール周りの配線をすると boost/cut は逆回転になる. 再製作で明らかとなった.

さらに再製作した際に明らかになったのは原機とは異なり上記の赤字で示した 1kΩ が省略されている事である. これは発振防止に必要な抵抗であり, 挿入をお勧めする (2022/12/5 追記).

実体配線図で配線を追ってもどこに付いているのかよくわからない. 配線図で確認できなければ完成させることは不可能である.

背面パネルは手抜き工作で, 真空管は四角い穴から触ることができ, ぐりぐりと動かす事でソケットの接触不良を直せる. 元来真空管ソケットはシールドケース付きのものにしてしっかりと固定しなければいけなかったのだが当時は知識がなかったか, シールドつきの MT ソケットが手に入らなかったのだろうと推察. わずかでも雑音を拾っている可能性がある. さてこのシャーシについて製作後 42 年経過して考察することになった. 前面パネルは実はコの字型の成形がされている. ひょっとするとこれは channel 材というのかも知れない. 私は表面の hair line を引いた記憶もないのでこのような材料が最初から市販されていた可能性を考えている. コの字型の角は曲げではなく 90 度の鋭角の成形のため前面にねじが見えない構造を作ることができている. 現在では特注しないと手に入れることは困難であろう.

 

レストア時, 電源部分には手を入れることができずに電源用キャパシターの交換はあきらめた. 縦のアルミの仕切りはシールド用であるが手で曲げたとわかる.

真空管はテレフンケン ECC83

coupling キャパシターの一部は交換した.

トーンコントロール用のロータリースイッチまわりはごちゃごちゃで, よくもこのような複雑な配線ができたものだと今更感心. このロータリースイッチは大須のボントンさんで購入した中古品と記憶している.

他のプリアンプも試すのがこの作品には特別な愛着があるからか, 舞い戻ってしまう. 聞き比べると自ずと分かるが独特の音の良さによる. 華やかで奥深い感じだろうか.

夜景撮影を試みたが, 古びた感じになって失敗.

2022年11月

再製作が概ね完了しかかったところで旧作品のトーンコントロール部分を点検.まずは低音部

製造メーカーはアルプス社と読めた.

この写真ではうまく説明ができないが一段の裏表に接点が設けられている変則的なスイッチで, どうしても 1 ヶ所で接点が飛んでしまう. この装置ではboost 2 クリックで接点がなく 6 と同じ効果になってしまう.

配線が間違っていると勘違いして一旦部品を外したところこのスイッチは LUX 製と判明した.

ロータリースイッチ周りの点検, 半田手直し, 矩形波入力でトーンコントロールがちゃんと働いていることを確認し撮影. トーンコントロールのブースト3番目が効かないため点検すると0.018μF のところに1800p のキャパシターを付けていたことを発見した(正しくは18000p). 0.018μF に限り在庫があったため即座に修理ができた. 配線は全く下手くそだが結束帯でまとめただけでそれらしくなる. うっかり感電したが.

真空管ソケットを固定しているコの字型のアルミ板は本来上下が逆で, これも元本の誤植に基づいた勘違いによる. おかげで真空管は観察しやすい. 新作では是正し, ちゃんとシールドケースにしたためにむしろ真空管の姿はまったく拝めない.

上段が旧機で下段が 42 年後に新規作成した物

 

UV211 single Ampへ

Marantz 7 再製作へ

戻る