Marantz 7 レプリカのレストア

Marantz 7 レプリカのレストア

Marantz7 レプリカ 版のジャンクがヤフオクに出品されており, 51件の入札者がいたが 29000円で私が落札した (2024/12/01). 下 3枚の写真は出品者の撮影である.

私がたとえ一部分であろうと本物 (レプリカを含む) の Marantz 7 を手に入れたのはこれが最初である. 残念ながらフロントパネル, 底板, ツマミ類, 真空管及び基板回路などは欠損している. 配線も寸断されているが電源部分, 電源スイッチ, トーンコントロール, 入力セレクターは残っている. 音量, バランスボリューム, モードセレクター. low cut フィルター 用のレバースイッチは欠損している. 基板回路部分を新作する必要があるが, 当方の思惑と一致しており丁度良い. 写真のごとく寸断された配線のため, マランツ 7 キットの製作記事がない条件では完全なレストアに持って行けるのか不安がある. 手元にあるのは「管球王国」の記事にあったオリジナルの回路図以外にはセミコピーの製作記事のみである. 最初にはじめたのは向かって左側面に張られ劣化したウレタンスポンジの除去であった. 溶剤を用いて必死に剥がしたがそもそも何のためにこれがあるのかまったく分からなかった. ネット上にも何のためにこれがあるのかはっきり記述されていない. 恐らく共振防止であろう. 清掃終了後, 点検するとブリッジダイオードの 1 ヶ所にハンダの外れを見つけた. 慎重に再ハンダして通電すると電源部分は生きていることが判明し, 非常に安心した. レプリカが発売されたのは 1995 年とされているので古くても現時点で 30 年が経過している. 30 年前は私はオーディオから遠ざかっていたからかこの製品が発売された事はまったく気付かなかった. 30年であればまだまだコンデンサーも健在と推察する. 私がこれまで作製してきたのはフィルター機能などを省略したものなので, レバースイッチ周りの配線はまったく情報が無い. 実体配線図なしには low cut フィルター周りは結線困難である, ところが net上にその部分の実体配線図が出ており, これは本当に役に立った. トーンコントロール回路は非常に良く考えられており, そのロータリースイッチは極めて複雑な構造で, 外から見ただけでは回路図との照合も不可能だ. では早速落札したものを写真に撮ってみる. 背面の 500KΩのボリュームはやけに軸が長く, オリジナルとは思えないが, 欠損していたメインボリュームとバランスボリュームの孔に突っ込まれており, 背面に戻した. この時ボリュームナットが一つ欠損していた. シャフト径は 6.35mm, ナットは直径 9.4 mm で (3/8 インチは計算すると9.5mm), インチサイズ規格と思われ, 内径 9 mm のメートル規格のナットははまらない. 3/8 インチサイズであり, ネットで探しても中々分からない. 実はギターに使うボリュームはポテンショメータ (potentiometer) を略してポットと呼ばれており,「ポットナット」で検索すると, 沢山出てくる. 単にインチサイズとあるだけでは径が具体的に何インチなのかわからないので, ちゃんと3/8インチ とか 3/8″ を選択しないと正しく購入できない. 私は 3/8インチの「管用ナット」を購入してしまったが, それはポットナットより少し厚みがある. 下写真は天板も底板も外してあるがそもそも底板は欠損していた.

下写真上方のボリュームが使用した管用ナットでポットナットより微妙に厚みがあるのが分かる.

配線は寸断されており, 回路図との照合も手間である. 真空管ソケットを固定するシャーシの加工は最初はミスミにお願いするつもりでネットで発注を試みたが入力を誤った過程で断られてしまい, 不親切な会社だと思ってあきらめた. 納期まで時間が空き, その間に簡単な工作から開始. 下はそのミスミにオーダーして手に入れてあったベーク板であり, 孔を開けてビスを通した.

第二作も製作過程でこのような写真を撮ったがその時のビスナットはハンダでつかない材質で, あきらめて錫メッキ線に変更したものだ. 今回はハンダ付け可能な真鍮製ニッケルメッキ製品を調達できた. シャーシと付属部品は岩田製作所にお願いし, 新たに設計図も引いていただいた. 一部誤りがあり, この設計図上では変更してある. 真空管ソケットは MT管用であるが「金メッキ端子でシールド付き」という組み合わせを見つけることが出来ず, 今までも購入したのと同じ安価なものになった. ソケットとシールドを別々に手に入れて接合可能かを確認するという方法もあったが不安で止めた.

上記がシャーシ. 下は基板と接合する部材で3つ必要である

送られてきた梱包のデザインが中々優れていた. 描かれた部品はスリットカラーというもので, スケッチはフリーハンドによるものらしいが芸術性がある. このようなデザイン付きの箱で送付されると非常にうれしい.

岩田製作所は刃物の加工で有名な岐阜県関市にあり, 我が家にも地理的には近い. 購入してあったソケットと合わせると開けられた孔は少し小さかった. 雑誌の記事をそのまま信じて失敗した, 必ず部品との現物合わせが必要. 直径18mm としたのは誤りで19mmが正しかった. 仕方が無いのでリーマーで広げたが, 1mm 厚アルミなので工作はすぐに完了した.

モードセレクター用のロータリースイッチが届いた. 富士通製でどうやら製作が1978年10月のデッドストックらしい. 47年前のものだ.

フロントパネルは欠損していたのでヤフオクで探すと幸運にも掘り出し物が見つかった. オリジナルから外したというものが 3000円である. 私以外は誰も入札者がいなかった. もし程度の良いものなら 16000円が相場だ. 残念だが文字はエッチングではなく印刷であった.

筐体はレプリカバージョンでありオリジナルとは穴の位置が異なる可能性もあったがフロントパネルと寸分の狂いなく同じであった. 売り主が言うとおり入力セレクターの文字が消えかかっており, マランツ 7 だけに文字が消えるまでに使い尽くされた個体が存在するのだと感心した. パネルの裏側を見るとボリュームなどの取り付け部分は座刳りが入っていて, パネルの上からさらにボリュームナットで締め付ける構造が理解できた. 裏面には何も記載はない. このパネルの写真を Chat GPT にアップロードすると以下の鑑定が頂けた. 残念ながらオリジナルではなさそうだ.

✅ 総合判断(表裏を総合して):

このフロントパネルは、おそらく以下のいずれか:

🅰️ 精巧なレプリカ(高品質なアフターマーケット品)

  • オリジナルに極めて近い仕上がり(材質・穴位置・面取り精度)でありながら、文字印刷や刻印がない。

  • 以前流通していた台湾や中国製の高品質なリプロダクションパネルと一致する特徴。

🅱️ オリジナルパネルを再加工したもの

  • オリジナルの印刷が剥げたものを、再研磨 → 再印刷した可能性も残されています。

  • ただし、その場合でも通常は裏面に少なくとも何かしらの**工業的痕跡(シリアル刻印、スタンプ跡など)**が残ることが多いので、やはりレプリカ寄りと考えるのが自然です。

low cut フィルター用のレバースイッチが到着した.

上記レバースイッチを規定の場所に装着したのが下写真. まだ結線していない. bass トーンコントロールからの配線 (黄色) がどう考えても左右逆なので, どうなっているのか考え込んでしまう. どこかで再度左右を逆転させないといけなくなるのだ. ハンダ付けは素人がキットを組んだようには見えない. なぜローカットフィルターのレバースイッチのみが取り外されているのか理由は全く不明である.

上写真はレバースイッチ用ノブの最初の購入品であるが寸法が合わずに挿入できない. 調べるとこれはインチ規格で挿入孔は 3mm足らず, このあとにもう一セット 「Musiclily レバースイッチノブ TLタイプ ミリ規格 テレキャスターエレキギター用、ブラック(5個入り)」を購入したがこれも 4.9 mmで, 金具が実測 5.5mmの幅なので さらにドリルの刃で穴を0.5mm以上広げてようやく挿入できた.

上は基板の抵抗主体側であるが揃えて美観を考えるべきであったと後悔. 下はキャパシター主体側. 後述するようにこの時点では黄色の配線に誤りがあった. これらのオイルキャパシターはヒグチ電子製で, 個別に共立エレショップか千石電商かのどちらか安価な方で購入した.

シャーシとの間にはゴムのブッシュを噛ませて振動を吸収する構造をまねすることにしたが, オリジナルがフローティング構造になっていることは知っていたものどのようにな構造か筆者は確認していない. 写真のブッシュの穴の径は 3 mmであり非常に小さい.

下のボール盤は直径 6.4mmの刃が付けてある. 手に入れた左側用の 4 つのボリュームノブの取り付け孔は 径 6mmであるがセレクタースイッチのみがオリジナルの 6.35mm であり, インチサイズのシャフト径にまで広げるためこれを使用.

真空管 12AX7 はヤフオクで中古品を平均 2000円で落札できた. 特に雑音もなく問題なく使用できている. 今回は国産を試すことにして, 上は東芝で下が松下と混じっている.

前述のようにこのジャンク品はローカットフィルターがはずされており, 実体配線図がなければ私には結線困難であるが, なんとネット記事のおかげで正しく配線できた.

2025/3/10 すべての配線は完了したものの完成できなかった. フォノでは大音量が出てしまい, 慌ててメインアンプのスイッチを切った. 配線をチェックするとメインボリュームのアースラインを取り忘れていた. コピー記事の実体配線図では分かりにくく回路とボリュームの間はシールド線を用い, シールドアースする必要があったが私は省略していた. その修正後ライン入力は右チャンネルから良き音が聞こえたが左チャンネルは鳴らず. そしてフォノからは両チャンネルともにピーという高音の発振音が聞こえる. 針を擦るとわずかに音は入るので配線がまったく異なっているわけではなさそう.  完成できず無念である. この時点では私の力でそれなりに確認しても誤配線は見つからず.

2025/3/16 ローカットフィルター回路に誤配線を見つけて修正したらライン入力では両側から音は出た. ところが左チャンネルからはノイズが聞かれる. 真空管の入れ替えを試しても左右が変わりない. 目視では誤配線は見つからず. 音を出しながら回路を触ってもノイズに変化が出る箇所はなくハンダ不良などではなさそう. ノイズはザーザーにポツポツと不規則に変化するタイプで, 今までメインアンプで経験してきた真空管ソケットの接触不良やマイクロフォニックノイズに類似している. 抵抗やコンデンサー不良も原因としてあげられるが新品であり考えにくい. 対側である右チャンネルはメインアンプゲインを目一杯上げても雑音はほとんど入らないので左チャンネルに特有の問題だが, どう考えても左右同等に製作してある. まったく困惑である. アースの取り方やシールド線の処理についても左右同等になっているはずだ. トーンコントロール回路を完全にバイパスさせてどうなるかは課題であるが.

2025/03/28 懸案であったフォノ段の 100pF を手に入れて装着したが発振は止まらなかった. ネットには有害であるから取り外すべしなどと書いてあって, 最初から使用していなかったのだ. 一方で取り外すと発振するとも書かれてあるので付けてみる価値はあると考えた. RIAA 回路を片側外すと発振は止まり, つながっている側のフォノの音はひずんでいるが出る. そのことを Chat GPT に尋ねてもアースの問題とか意味のなさそうな回答しか得られない. また修理すべきヶ所の候補はあってカップリングコンデンサーの交換などと書かれている. こりゃまた出費であるし, それで直る保証もない. コンデンサーの容量計は持っておらず, 抵抗を測定すると最初に低抵抗値が出てその後高抵抗になると書かれてあるがいずれのコンデンサーも抵抗値は測定できない. 無限大である. これは壊れていると言うことなのか?.

2025/04/02 基板内のシールド線 (V4a の 4.7kΩからカソードに入る線) をいじるとノイズが変化することにようやく気付いた. 配線を強く押しつけると雑音は一旦消失. しかし再度出現する. 思い切ってその 10cm 足らずのシールド線を作り直し配線するとすっきりノイズは消失した. そのシールド線のなにがいけないのか, ルーペで観察するとカッターで加工した際に中の被覆にも傷を付けていたことが判明した. カッターで切ったときの銅の粉末が絶縁を不十分にして悪さしたのだろうか. アンプの故障を突き止めるのには触診は極めて重要と判明. 下写真が中の被覆に傷を付けていたシールド線である.

2025/4/03  前日の実験では RIAA 配線を片側はずしても両側にひずんだフォノの音が出ていて, どこかで左右が混じっているような予感がしていた (RIAA 配線をはずすと音は出なくなると誤解していたが). 基板上の配線を再度確認したところ, クロスさせなければいけないところでしていないのを発見し, この配線を直すと発振は消失し音が出た.

今までの私の失敗は以下である

① メインボリュームのアースを取るのを忘れ大音量が出た ②トーンコントロール回路の結線位置を間違え片側音が出なかった, ③シールド線の一部に雑音が混入する問題があり製作し直した, ④V3への結線の一部で左右逆になっており発振の原因になった. これらを解決するには約 4 週間を費やした.④については同様なことがネット上にも書かれてあった. 下の写真で 2 本の黄色のラインが見えるが

クロスしているように見えてクロスしていない. 実体配線図ではわかりやすくクロスして描かれているのだが実際の引き回しではつい並行にしてしまったのだ. この誤りを回路的に表現すると V2 のカップリングコンデンサーを V3 のグリッドに繋ぐべきを左右逆にしていたということだ. V3 のカソードバイパスコンデンサー 0.47μF が配置上クロスしているのに合わせてこちらもそうしなければいけなかったのだ. V3 は双三極管の片方ずつを左右に分けて使用している. 従ってクロストークが生じうるが, グリッド配線を左右取り違えると両側に歪んだ音が小さく聞こえる. RIAA を両側つなぐと完全に発振してしまう. この現象を観察していたことになる. 下写真は黄色ラインを正しくクロスさせたもの.

このレストアをきっかけにマランツ7について調べているとこのようなサイトを見つけた. いろいろな情報がダウンロードできる.

フロントパネルはまだ付けていないがノブを付けたほぼ完成状態を写真に撮った.

上記オリジナルの回路図では treble のトーンコントロールは抵抗とキャパシターは直列になっているがこの個体ではキャパシターにそれぞれすべてに 2.2KΩ 抵抗が並列で挿入されており, 持ち主が追加変更したと思われるが, ひょっとするとレプリカバージョンでは設計が異なるのかも知れない. とりあえず Chat GPTにそのことを尋ねてみると, 以下の回答を得た.

「おお、それは興味深い変更ですね。マランツ7のようなヴィンテージ機器では、トーンコントロール回路の変更は稀に見られる改造のひとつですが、その2.2kΩ抵抗がキャパシターに並列に入っているというのは、回路的に明確な意味があります。
並列抵抗の目的

コンデンサーに並列で抵抗を入れると、そのコンデンサーがブロックする高域の周波数を一部通すようになります。これには以下のような目的があります:
1. Q(共振の鋭さ)の調整・減衰の滑らかさ向上

キャパシター単体ではある特定の周波数以上を急峻にカットしますが、並列に抵抗を入れることで、カットオフ特性を緩やかにできます(つまり「より自然な」トーンカーブになります)。

トレブルの調整が鋭く効きすぎるのを緩和する目的があるかもしれません。

2. 帯域のバイパス/リークパスの形成

コンデンサーは理論上、直流をカットし交流だけ通しますが、並列抵抗を入れると小さい信号でもわずかに電流が流れる経路を作ります。これにより「完全にカットされる」周波数帯がなくなり、よりナチュラルな音質になります。

3. オリジナルに比べて出力インピーダンスの調整

トーン回路の変更で、出力インピーダンスや負荷の影響を調整したいとき、こういった並列抵抗が使われることがあります。

推測される意図

あなたの個体の改造者は、おそらく以下のような目的でこの2.2kΩを追加した可能性があります:

トレブルの効きが急すぎる・不自然に感じたため、マイルドに調整したかった

トーンコントロールをフラットにしたときでも、音が「こもる」と感じ、それを補正するために高域を少し漏らしたかった

実際のスピーカーやアンプとのマッチングを良くするためのチューニング

まとめると:

「コンデンサーに2.2kΩの抵抗を並列で入れる」=「高域の減衰をなだらかにする」「Qを下げる」「音質をナチュラルにする」といったチューニング目的の可能性が高いです。」うーーん凄いなあ.

下写真で左の方に白い左 RIAA 回路のリード線 1本がビス頭の横に見えるがハンダが外れていて, いろいろ実験したあとにハンダ付けを忘れたか, 天ぷらハンダで外れたかいずれかである. 一見付いているように見えるので悩みの種となった.

下写真でAカーブ 1 MΩ MN型の 2連ボリュームはまったく手に入らないので, Bカーブ 1MΩ のボリュームを背中合わせに 2つ装着し, 一つは筐体に隠してある. 結果としては片側のボリュームだけでそれなりに役立つ.

真空管は松下製 4本, 東芝製 2本をヤフオクで平均 2000 円で落札した. 雑音無くまったく問題ない. V3, 6は単独で左右の入力を受けているので V1,2,  V4,5を松下製に, V3,6を東芝製にした. 写真はそのように直す前である.

ようやく完成が近づいた. この時点でパイロットランプはまだなく, 底板は欠損しており, アルミ板を発注している. パイロットランプにはDC 2V が来ており 2Vの LEDを探している.

マランツ7 について不思議に思っていることの1つに, セミコピーの記事 (藤本伸一氏) ではセレクターと RCA ジャックの間の結線はすべてシールド線にしている (ように見える) が現物は決してそんなことはしていない. さらにメインボリュームと V4,5 プレート間を繋ぐ線が極端に太く, 極端に厳重なシールドが施されている事. さらにRIAA 回路が基板上にはなく, セレクタースイッチに実装されているのも不思議である.

放熱用の穴は天と底では異なる形状である. 下写真は欠損していた底板の製作で, 特注アルミ板 360×214mm 厚さ1.5mmにポンチを打ち, 保護フィルムの上から 6mmの穴をボール盤で開けたところ. ネット上にはこの孔の設計図はなかった. オリジナルより孔の数は少ない.

底板のビスが一部締まらないがとりあえず完成とした. パイロットランプ挿入孔は直径 5mmで, ここにはまる LEDソケットは見つからない. 仕方ないので下写真 2V Φ5mm の LED (OHM社製) を裏から直接挿入したらぴったりであった.

ひっくり返すとトランスの下にこの放熱口が来るようになっている.

マランツ7は 3 台目となり, コレクションは賑やかになった. 右上に置いたのが本機である,  (2025/4/12).

完成させたと思い込んでいたが, ライン入力での左右差は全くないもののフォノ入力で左チャンネルの音が全体に高域によっていて低音が出ていないことに気付いた. 音は左がやたら大きくしかもすこしひずんでいることにも気付いた. negative feedback がかかっていないのだろうか. どこかでアースを取り忘れているのだろうか.  そもそも最初からこうなのか途中からこうなったのかが不明だが, いずれにしても完成にはほど遠いと思い込んだ. この故障での精神的ダメージはひどかったが数日間頭を冷やして蓋を再度開けると数秒で RIAA の結線が左で外れていることを見つけた (前述の写真で説明した). それまで数日間の間はキャパシターの故障だろうか, 発振したときにどこかが故障したのか, Chat GPT にも質問して, 気が狂いそうであった. とにかく外れていた RIAA 結線をハンダ付けしようやく完成した. 恐らく実験の途中ではずしたのを付け忘れたのだろう. 苦労の末にようやく本来の美音が聞かれるようになった. 左チャンネルの異常に気付いたのはスピーカをQUAD ESL に切り替えた瞬間である. バックロードホーンスピーカでは気付かなかった. 片側チャンネルから RIAA 補正がされていない音が出ていてもしばらく気付かない私の耳はまったく馬鹿耳だ. 実はピアノの音を聞くと高音が刺さるのでかえって美音にさえ聞こえていた.

下は RIAA の配線がが外れていたことを Chat GPT に報告したときの返信である (私の喜びを代弁してくれています)

おおお、それは見つかって本当によかった!!🎉
そして…なるほど、RIAA回路へのフィードバックラインが断線していたとは!
それであの「左チャンネルだけやたら音が大きくて歪んでいて、しかも低音が出ない」症状、完全に合点がいきます。
🔧 RIAA回路が未接続だった場合の動作(技術的に)

はい、まさにおっしゃる通り、

RIAA回路は「負帰還(ネガティブ・フィードバック)」で構成されるEQネットワークです。

これが外れると…
➤ 負帰還がかからず、回路はこうなる:
項目 状態
ゲイン 超高ゲイン状態(設計の数倍)
周波数特性 フラット〜高域寄り(逆に近い)
低域 補正されないのでスカスカになる
歪み 真空管のリニア領域を超え、激しく歪む
発振傾向 状況によっては高域で発振も起こりやすい
🧠 なぜ音は出ていたのか?

「RIAAが切れてたら音が出ないと思ってた」というのも自然な感覚ですが…

実際は、RIAA回路は
**「アンプ回路のプレートからカソード(またはグリッド)に戻す帰還ループ」**で成り立っているため、
フィードバックが外れてもアンプ回路自体は動作します。

ただし、その結果は「ものすごく暴れた音」になるわけです。
🎯 これまでの症状がすべて説明つく!

左だけ音がでかい → 負帰還がなくゲイン過多

歪む → 信号が大きすぎて増幅段でクリップ

高域が強調される → RIAAカーブが適用されず、再生イコライジング失敗

低域スカスカ → 本来ブーストされるべき帯域がノーサポート

✅ 結論:大正解のトラブルシュートでした!

あなたの粘り強さと観察眼、そして冷静な分析の積み重ねがこの解決につながりました。本当に素晴らしいです👏
また「フィードバックが外れても音が出る」という現象は、今後の自作・修理の現場でも生きる知識になると思います。

📻 これでマランツ7、完全復活ですね!また何かあったらいつでも気軽に聞いてください。楽しい自作・レストアライフを✨

さてその後もネット上でマランツ 7 を時々見るが treble トーンコントロール回路の 2.2 kΩは付いているものが多く, この個体で持ち主が追加したというのは誤りで, むしろ私の手元にある回路図中にその記載がないというのが問題のようだ. いずれかの時点でこの抵抗は回路に付け加えられて多くの個体でそうなっているという解釈が正解だ.