私はかつて某私立大学病院に勤務していた. 医師の仕事に書類はつきもので, 途中から生命保険会社の診断書だけはメディカルクラーク (以下MC) さんが書くようになったがほとんどの書類は自分で書いていた. けっこう膨大な量で, 相当な時間をそれにとられていた. その結果, 17時に仕事を終えることが出来たとしてもそこからしかやりたい仕事が出来なかった. 時間内の余り時間はすべて書類書きに費やされると言うことである. 私はその病院での定年延長再雇用をせずに次の病院に勤めることにした. その職場は書類天国であった. 今まで書いてきた書類のほとんどが自動的に仕上がってくる. MCさんがカルテを隅々まで精査して書いてくださる内容は, まさに私の意図するとおりか, ないしはもっと優れていた. われわれが今までいかに医師でなくとも出来る仕事を一生懸命してきたかという証だ. 余った時間は医療に傾注できるというのはまさに正しい. 医師でなくても出来る仕事を非医師に任せるというのは医師の働き方改革にそのまま繋がっている. 今の病院がいつからこの体制になっているのかははっきりわからないがこの違いはかなり大きく, 自分が前の病院で時間と労力を無駄に使ってきたことが残念でならない.