処方制限・月と4週間のこと

薬剤の添付文書は公文書同等の効力があり, ボトックスを打つのに「2ヶ月は開ける事」なる制限がある. 医療事務的に1ヶ月は30日を指すので2ヶ月は60日をいう. 病院の医師は通常週に何曜日を担当するという具合に外来をしており, 私は毎週金曜日にボトックス打っている. 2ヶ月ほどでボトックスの効果は減じてくるため早めに次を打ちたい方は60日で打ちたいが金曜日と決まっているので最短で63日(すなわち9週間)で打つことが出来る. ここで問題が出てくるのはその患者さんに30日の処方制限付きの薬剤を処方している場合だ. 実は神経内科を受診する方の一部が現在でも処方制限のある睡眠薬の処方をしており, してはいけない倍量処方をしても最大は60日しか処方できないので,どうしても3日分不足するのである. 不足分を頓服で出すなど逃げ道はいろいろあるとは思うし,多くの患者さんが我慢しますとか,余っていますので良いですなどとおっしゃって頂けます.

処方制限では他に90日の薬があり,典型はてんかんと甲状腺の薬. この90日というのも非常に微妙な数字で困ります. 12週間は84日ですから, 次回約3ヶ月後の12週間後に来てくださいという場合に90日処方しますと1回に付き6日分あまりが出ます. 実はこの6日分のあまりをすこしづつためて頂き, いずれは13週とか14週間後に来て頂くという具合にして出来るだけ後に繰り延べます. もし処方制限を90日ではなく7の倍数となる91日にして頂ければ.こんな面倒なことは考える必要がないのです.

何故厚労省は処方制限を7日の倍数で考えてくれないのでしょう. 睡眠薬などの30日制限ではなく35日にすればこうした面倒なことは相当避けられ, 現場の悩みが軽減されるに違いありません.

病院の勤務医師は科にもよるのですが慢性期の難病をどうしても診なければならない事情があります. 専門科医師が継続的に診察する必要がある疾患があると言うことです. その場合に医療費削減する意味合いからも診療間隔は長い方が良いです. 1カ月で診療してもさして変化が見られないからです. そうした場合に処方制限は非常にナンセンスであると思われます. ご存知と思うますがそして一方でそんな馬鹿なと思う節もありますが処方日数の制限のない薬剤は何日でも処方できるのです. 一生分の薬剤を1回の処方箋で切っても違法性はないわけです. 厚労省はそこまで物わかりがよろしいのですからもうすこしだと思います. ちなみに私の処方で元も長いものは100日越えですが, 病院の薬剤師さんに理由の記述を依頼され, 正直に長期海外勤務のためと書いたことを記憶しています.

 

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