UV211 single Amp

UV211 Single Main Amp

このアンプのプレート電圧は 916 Vとかなり高く, 製作には危険が伴います. UV211 は VT4C と同一規格の 3 極送信管. 1985年頃? まだ名古屋の大須にオーディオ専科があった頃にキットから作製したものです. 写真はレストアした際 (平成 18 年) に撮影したものです. キットと言っても一箱に収まったセットというよりはバラバラの部品を箱に詰め込んでいただいたもので, 部品を自分で集めなくても良いだけの便利さでした. 当時のカタログによれば定価は 236000円. 現在なら 40 万円以上はするかもしれない. 無線と実験 1979 年 8 月号の記事 (森川アンプ) に基づくもので, UV211 シングル ST・MARKⅢが正式名称のようです. 説明書は製作記事のコピーと実体配線図 2 枚でした. 実際の部品とは異なる箇所があり赤のボールペンで直して頂いています.

上記は最近になって中古の 無線と実験 (MJ) 1979 年 8 月号を手に入れ, 付属のコピーがあまりきれいではなかったのでスキャンし直しました. しかし中古の実物はページの周辺が変色していました. また記事の部分は凸版であることがよくわかり時代を彷彿とさせます. 以下は手元にあった購入時のコピーです. 赤字の手直しはオーディオ専科さんによるものです

製作から 35 年以上も経過し, 今更ですが回路の勉強を少ししました. 森川先生の最初の設計は 1978 年 7 月号にあり, これは改良版ですから MJ 誌記事ではMkⅡ になっています. 一方, ついてきた説明書はさらに MkⅢになっており, 改良部位がペンで修正されています. 初段は ECC81 を分割使用した SRPP であり, 2 段目との間は直結になっています. 2 段目と 3 段目は 12BH7A ですがカップリングコンデンサーがあり, さらに 3 段目と UV211 との間はカソードフォロワー直結ドライブになっており合わせて 4 段構成です. 3 段目のカソードから初段のカソードに NFB が掛かっています. 購入時の部品表が出てきたので照合したのですが, いくつかのキャパシターは Sprague  と書かれていますが実際には他のメーカ製であり, むしろレストア時にSprague 製品に変更しています. さらに部品表の定格はまた異なる数値が記載されています.

配線終了後スイッチ on 時には煙が出たり爆発したりしないかとひやひやものでした. 最初の音出しで片チャンネルから音が出ず, がっかりしながらも再度注意深く点検するとキャパシターの極性が一ヶ所間違っていることを発見しました. なんとか音が出たときの安堵感はなんとも言えません. ちゃんと最初から正しく組めないのかと不注意に落胆しました. レストアしたときにも音が出なくなり, キャパシターの交換ごときでどうしてこう間違うのかと嫌になったものです. 電圧が高いので感電死の可能性もあり, たとえ電源が切ってあってもキャパシターに残存している電圧で感電する可能性があるので, 手袋などはめた作業で気を遣います. いずれにしてもこれまで煙が出たり爆発したり感電しなかったのは幸いです. なかなか二度と製作する気はしないですが. さて音ですが私の所有するアンプのなかでは最も出力が出るので, その面からは圧倒的な,  悠々たる大音量が出る, それだけですばらしい音のような気がしますが, 少しハムが入るのと, ボリュームのガリが最悪の状態になっています.  大変重いので現状修理する気にもなりません.  また真空管を保護するカバーも本当はあったほうが良いのかもなどと考えています (MJ 製作記事を今更精読し, 「ケミコンカバーと真空管ボンネットは標準仕様として付属しています」と書かれているのを読んでびっくり. 露出した状態の UV211 が当たり前という固定観念があったのか, 販売店はそれらを渡し忘れたことに, 当方は全く気がつきませんでした). (2019/01/27 本当に久しぶりで音を出しました. そしてガリ直しに挑戦. ガリの状態は最悪でしたがとにかく左右へのボリュームの回旋を嫌という程繰り返したのです. 音を出しながらやる方が効果がわかり, モチベーションが上がります. こうした摺動式のボリュームはある程度自浄作用があるわけで, 特に薬剤などは使用しませんでした)

さて付いてきた球ですがこのUV211 (VT4C) の内部の形状が左右の球で全く異なっているのに気付いたのはずっと後になってからのこと.  左の球はソケットにGEと書いてあり, 正真正銘のGEである. それで上から見ますと真空管の中身の構造が全く違います. 右は川の字に一本真ん中に線が入っていて, 左側は十字の形態. (2019.1.19 調べました. 右の真空管を抜いて確認しましたらガラス面にGE 211 と印刷されていました. 支持体の構造が異なるようで, 845 でなくて良かったです) どうしてこのように内部構造が違う真空管をセットされてしまったのか今でも不思議です. しかし single ended の良いところで, 左右の真空管は規格さえ同じなら問題なし? ところで GE といえば電気機関車や医療機械のMR (核磁気共鳴画像装置) を思い出します. 医療用の MR と電気機関車そして真空管 3 者の共通したメーカーということです. レストアで電源関連のオイルキャパシターもほとんどものが交換できた. 識者によれば頭が膨らんでいるのは寿命が来ているから交換するのが妥当とのこと. ほとんどのキャパシターは小坂井電子さんでお世話になった.

レストア前の状態 キャパシターのメーカーは一部不詳.

レストア後にようやく一部を Sprague 製に交換. このメーカーは black beauty というビンテージ品で有名です. さて繰り返しますが, このアンプの音は圧倒的です. 余裕で鳴り響く低音と清澄で抜けるような高音が出ます.

新聞が読める明るさで有名な夜景です.

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